「がまくんとかえるくん」シリーズ
教科書にもお話が載っていることで有名な、アーノルド・ローベルの「がまくんとかえるくん」シリーズですが、シリーズを全部読んだことがあるという方は、少ないのではないでしょうか?
「がまくんとかえるくん」の絵本は、全部で4冊あり、どのお話にも、クスッと笑える部分や、心温まる場面があります。
アーノルド・ローベル展
2021年は「がまくんとかえるくん」の誕生50周年にあたるため、東京都立川市にある「PLAY! MUSEUM(プレイミュージアム)」で、「アーノルド・ローベル展」が開催されています。
会期は3月28日(日)までで、4月3日(土)から「ひろしま美術館」で展示された後、伊丹市立美術館や東北への巡回も予想されています。
展示されている原画やスケッチの数は、「がまくんとかえるくん」シリーズと『ふくろうくん』などの他の作品を合わせて、約200点もあるので、かなり見応えがありますね。

プレイミュージアムのカフェでは、「ともだちサンドウィッチ」などの、「がまくんとかえるくん」のコラボメニューを楽しむことも出来ますよ。
アーノルド・ローベルの絵本は、どれも素敵なお話ばかりで、すぐに読み終わるので、展覧会に行く前に読んでおくことをお勧めします。
この記事では、「がまくんとかえるくん」の4冊の絵本を、お勧めのお話と共にご紹介するので、参考にしてみて下さいね。
『ふたりはいつも』
最初にご紹介するのは、『ふたりはいつも』です。
『ふたりはいつも』に限らず、「がまくんとかえるくん」の絵本は、4冊とも短編集のようになっていて、1冊につき5つのお話が入っています。
『ふたりはいつも』には、「そりすべり」と「そこの かどまで」、「アイスクリーム」と「おちば」、「クリスマス・イブ」という5つのお話が収録されています。
絵本1冊のページ数は64ページあるのですが、ひとつのお話が見開き7ページくらいで終わるので、長いお話が苦手な子どもでも、集中が途切れません。
「アイスクリーム」
『ふたりはいつも』の中でも、私が一番面白いと思うお話が、「アイスクリーム」です!
がまくんがアイスクリームをふたつ買って、池のほとりで待っている、かえるくんの所へ持っていくのですが・・・

暑い日差しで溶けていくアイスクリームに、ハラハラしてしまい、コミカルな展開に大笑いすること間違いなしです!
「おちば」
「おちば」は、がまくんとかえるくんの、お互いを思いやる心が良く表れているお話です。
秋になり、それぞれの家の前に積もった落ち葉を見て、がまくんとかえるくんは、2人とも相手の家の庭をきれいにしてあげようと、思い立ちます。
お互いに帰ってきて、きれいなお庭に感動するのかと思いきや、そう簡単にはいきません。

ハプニングが起こっても、最後にほっこり出来るのが、「がまくんとかえるくん」の良いところですね。
『ふたりはきょうも』
次にご紹介するのは、、『ふたりはきょうも』です。
『ふたりはきょうも』に入っているお話は、「あした するよ」と「たこ」、「がたがた」と「ぼうし」、「ひとりきり」の5つです。
「あした するよ」と「ぼうし」
「あした するよ」と「ぼうし」は、どちらも人生でよくあることが描かれています。
「あした するよ」では、朝目覚めて、散らかった部屋を見たがまくんが、掃除を何もかも「明日する」と言って、ベッドにもぐりこんでしまいます。

明日することが山積みになってしまい、憂鬱になるがまくんを見ていると、笑いがこみ上げてきますよ。
「ぼうし」も、とても愉快なお話で、かえるくんががまくんの誕生日にプレゼントした帽子が、がまくんの頭よりも大きく、かぶると何も見えなくなってしまい、まともに歩けません。
かえるくんは取り換えてあげようとするのですが、がまくんは折角かえるくんがくれたものなので、一生懸命かぶり続けます。

人にあげたプレゼントや、もらったプレゼントが、しっくり来ないことはよくあるので、つい感情移入してしまいますね。
『ふたりはともだち』
『ふたりはともだち』には、「はるが きた」と「おはなし」、「なくした ボタン」と「すいえい」、「おてがみ」が入っています。
「おてがみ」は、教科書に載っているので、読んだことがある方も多いかもしれませんね。
「なくした ボタン」
「がまくんとかえるくん」シリーズでは、どちらかというと、かえるくんの方ががまくんよりも、ちょっと大人っぽい一面がありますが、「なくした ボタン」のがまくんの行動には、ハッとさせられるものがあります。
遠くにでかけたがまくんとかえるくんは、がまくんの家に着いたところで、がまくんの上着のボタンが無くなっていることに気が付きます。
落ち着いているかえるくんは、歩いてきた道を戻って、探して回りますが、ボタンはたくさん見つかっても、がまくんの上着のボタンは見つかりません。
ついにかんしゃくを起こしたがまくんは、ひとりで走って家に帰ってしまいます。

この後の展開は、是非『ふたりはともだち』を読んでほしいです。ただ見つかって終わるだけでないのが、「がまくんとかえるくん」の奥が深いところですね。
『ふたりはいっしょ』
最後にご紹介するのは、『ふたりはいっしょ』です。
『ふたりはいっしょ』は、「よていひょう」と「はやく めを だせ」、「クッキー」と「こわく ないやい」、「がまくんの ゆめ」の5つのお話で構成されています。
「クッキー」
「がまくんとかえるくん」シリーズでは、子どもに説明しなくても分かるような、簡単な言葉しか出てきませんが、「クッキー」には「いしりょく」という、ちょっと難しい言葉が出てきます。
なぜそんな言葉が出てくるのかというと、まだまだ食べたいのに、身体に悪いからとクッキーを食べるのを我慢するために、「いしりょく」が必要になるからです。
がまくんが作ったとても美味しいクッキーを、がまくんとかえるくんは最後に1枚食べてやめようとするのですが、中々やめられません。

クッキーを箱に入れても、箱に入れた上からひもで縛っても、食べたくなってしまうことに悩み、かえるくんが取った行動には、きっとビックリしてしまいますよ。
誰もが経験したことのある、食欲との戦いが、ユーモアたっぷりに描かれていますね。
まとめ
この記事では、「がまくんとかえるくん」の4冊の絵本と、お勧めのお話についてご紹介しました。
ここでご紹介しきれなかったお話や、アーノルド・ローベルの「がまくんとかえるくん」以外の絵本も、非常に面白いので、気になる方は見てみて下さいね。
また、絵本雑誌「MOE」の、過去に出版された2015年8月号では、「がまくんとかえるくん」が特集されていた他、2021年2月号にも、インタビューがちょっとだけ載っています。
書店や図書館での取り扱いも多いので、見かけたからパラパラしてみると、「がまくんとかえるくん」の裏話を知れて、面白いですよ。