「がまくんとかえるくん」シリーズ
教科書にもお話が載っていることで有名な、アーノルド・ローベルの「がまくんとかえるくん」シリーズ。
おぼろげにキャラクターを覚えていても、シリーズを全部読んだことがあるという方は、意外と少ないのではないでしょうか?
シリーズは全部で4冊
「がまくんとかえるくん」の絵本は全部で4冊あり、どのお話にも、クスッと笑える部分や、心温まる場面があります。
4冊とも短編集のようになっていて、1冊につき5つのお話が入っています。
以下の表は各絵本に収録されているお話を一覧にしたものです。お目当てのお話がどの絵本にあるか、チェックしてみてくださいね。
シリーズ | 絵本の タイトル | 発行年 (本国) | 収録話 |
1 | 『ふたりは ともだち』 | 1970 | 「はるが きた」、「おはなし」 「なくした ボタン」、「すいえい」、「おてがみ」 |
2 | 『ふたりは いっしょ』 | 1972 | 「よていひょう」、「はやく めを だせ」 「クッキー」、「こわく ないやい」、「がまくんの ゆめ」 |
3 | 『ふたりは いつも』 | 1976 | 「そりすべり」、「そこの かどまで」 「アイスクリーム」、「おちば」、「クリスマス・イブ」 |
4 | 『ふたりは きょうも』 | 1979 | 「あした するよ」、「たこ」、「がたがた」 「ぼうし」、「ひとりきり」 |
この記事では、「がまくんとかえるくん」の4冊の絵本を、お勧めのお話と共にご紹介していくので、ぜひ最後までお付き合いください!
『ふたりはともだち』
最初にご紹介するのは、『ふたりはともだち』(1970年)です。
『ふたりはともだち』には、「はるが きた」と「おはなし」、「なくした ボタン」と「すいえい」、「おてがみ」が入っています。
「おてがみ」は、小学2年生の教科書に載っているので、読んだことがある方も多いかもしれませんね。
がまくんとかえるくんが、手紙が届くのを玄関に並んで待つイラストが、かわいらしいです。
絵本1冊のページ数は64ページあります。ひとつのお話が見開き7ページくらいで終わるので、長いお話が苦手な子どもでも、集中が途切れませんよ。
「なくした ボタン」
「がまくんとかえるくん」シリーズでは、どちらかというと、かえるくんの方ががまくんよりも、ちょっと大人っぽい一面がありますが、「なくした ボタン」のがまくんの行動には、ハッとさせられるものがあります。
遠くにでかけたがまくんとかえるくんは、がまくんの家に着いたところで、がまくんの上着のボタンが無くなっていることに気が付きます。
落ち着いているかえるくんは、歩いてきた道を戻って、探して回りますが、ボタンはたくさん見つかっても、がまくんの上着のボタンは見つかりません。
ついにかんしゃくを起こしたがまくんは、ひとりで走って家に帰ってしまいます。
この後の展開は、是非『ふたりはともだち』を読んでほしいです。ただ見つかって終わるだけでないのが、「がまくんとかえるくん」の奥が深いところですね。
『ふたりはいっしょ』
次にご紹介するのは、シリーズ2作目の『ふたりはいっしょ』(1972年)です。
『ふたりはいっしょ』は、「よていひょう」と「はやく めを だせ」、「クッキー」と「こわく ないやい」、「がまくんの ゆめ」の5つのお話で構成されています。
「クッキー」
「がまくんとかえるくん」シリーズでは、子どもに説明しなくても分かるような、簡単な言葉しか出てきません。
ところが、「クッキー」には「いしりょく」という、ちょっと難しい言葉が出てきます。
なぜそんな言葉が出てくるのかというと、まだまだ食べたくても、身体に悪いからとクッキーを食べるのを我慢するために、「いしりょく」が必要になるからです。
がまくんが作ったとても美味しいクッキーを、がまくんとかえるくんは最後に1枚食べてやめようとするのですが、中々やめられません。
クッキーを箱に入れても、箱に入れた上からひもで縛っても、食べたくなってしまうことに悩み、かえるくんが取った行動には、きっとビックリしてしまいますよ。
誰もが経験したことのある、食欲との戦いが、ユーモアたっぷりに描かれていますね。
『ふたりはいつも』
シリーズ3作目の『ふたりはいつも』は、1977年に発行されました。
『ふたりはいつも』には、「そりすべり」と「そこの かどまで」、「アイスクリーム」と「おちば」、「クリスマス・イブ」という5つのお話が収録されています。
「アイスクリーム」
『ふたりはいつも』の中でも、私が一番面白いと思うお話が、「アイスクリーム」です!
あるひ、がまくんはかえるくんの分とあわせて、アイスクリームをふたつ買います。池のほとりで待っている、かえるくんの所へいそいそと持っていくのですが・・・。
暑い日差しでアイスクリームが溶けてきて、大変なことに!変わり果てたがまくんの姿は要チェックです!
どんどん溶けるアイスクリームに、焦るがまくん・・・。コミカルな展開に大笑いすること間違いなしです!
「おちば」
「おちば」は、がまくんとかえるくんの、お互いを思いやる心が良く表れているお話です。
秋になり、がまくんとかえるくん家の前にも、落ち葉がたくさん積もりました。「落ち葉かきをしなきゃな」と眺めていた2人は、同時にある素敵なアイデアを思いつきます!
それは「自分の家よりも先に、相手の家の庭をきれいにしてあげよう」と思い付きで、さっそく2人はお互いの家に出かけていきます。
同時に思い立ってすぐに行動に移すので、がまくんとかえるくんが出会うことはありません。サプライズですね。
せっせとお互いの家の落ち葉を掃除して、すっきりした気持ちで家に帰るふたり。当然、掃除していないはずなのに、帰ってきた自分の家がきれいになっていれば、驚くはずですよね。
ところが、しっかり落ち葉かきをしたはずのがまくんの家もかえるくんの家も、落ち葉で散らかったままになっていました!
自分の家は掃除していないので、帰ってきて散らかっているのは、ある意味当たり前なのですが、ふたりの努力が水の泡に・・・。
そんなハプニングに見舞われても、がまくんもかえるくんもがっかりしたり、残念に思ったりはしません。満たされた気持ちで一日を終える2人を見ていると、こちらも元気をもらえますね。
『ふたりはきょうも』
最後にご紹介するのは、シリーズ4作目の『ふたりはきょうも』(1980年)です。
『ふたりはきょうも』に入っているお話は、「あした するよ」と「たこ」、「がたがた」と「ぼうし」、「ひとりきり」の5つです。
「あした するよ」と「ぼうし」
「あした するよ」と「ぼうし」のお話には、誰もが人生で一度は経験したことがあるような、ほほえましい日常が描かれています。
「あした するよ」では、朝目覚めて散らかった部屋を見たがまくんが、掃除を何もかも「明日する」と言って、ベッドにもぐりこんでしまいます。
その結果、何もしないので、どんどん明日することが山積みになっていきます。明日することを考えただけで憂鬱になってくるがまくん・・・。
そんながまくんに、かえるくんはある提案をしてみます。
私もつい明日に色々なことを回しがちなので、人のことを言えません。でも、がまくんの姿を見ていると、笑いがこみ上げてきますよ!
「ぼうし」も、とても愉快なお話で、かえるくんががまくんの誕生日にプレゼントした帽子が、がまくんの頭よりも大きく、かぶると何も見えなくなってしまい、まともに歩けません。
かえるくんは取り換えてあげようとするのですが、がまくんは折角かえるくんがくれたものなので、一生懸命かぶり続けます。
人にあげたプレゼントや、もらったプレゼントが、しっくり来ないことはよくあるので、つい感情移入してしまいますね。
アーノルド・ローベル展
2021年は「がまくんとかえるくん」の誕生50周年なので、東京都立川市にある「PLAY! MUSEUM(プレイミュージアム)」で、「アーノルド・ローベル展」が開催されていました。(会期は既に終了しています。)
展示されている原画やスケッチの数は、「がまくんとかえるくん」シリーズと『ふくろうくん』などの他の作品を合わせて約200点と、かなり見ごたえのある内容だったようです。
展覧会に行けなかった!という人も、図録はまだ販売されているので、図版や解説をおうちでじっくり楽しむことができますよ。
私も展覧会には行けませんでしたが、絵本と一緒に本棚に収めてあります。
256ページもある分厚い本で、インタビューや解説も載っているので、時間のある時にゆっくり読み進めるのがオススメです。
まとめ
この記事では、「がまくんとかえるくん」の4冊の絵本と、お勧めのお話についてご紹介しました。
ここでご紹介しきれなかったお話や、アーノルド・ローベルの「がまくんとかえるくん」以外の絵本も、非常に面白いので、気になる方は見てみて下さいね。
絵本ナビでは、がまくんとかえるくんの絵本4冊に、特製A5版クリアファイルとがまくんとかえるくんのぬいぐるみが付いたギフトBOXの取り扱いがあります。
ぬいぐるみが付いていると、ついごっこ遊びをしたくなりますね。絵本のエピソードを再現して親子で遊ぶのも楽しそうです!